マタイによる福音書11章

(1)イエスは十二人の弟子に指図を与え終わると、そこを去り、方々の町で教え、宣教された。

◆洗礼者ヨハネとイエス
(2)ヨハネは牢の中で、キリストのなさったことを聞いた。そこで、自分の弟子たちを送って、(3)尋ねさせた。「来るべき方は、あなたでしょうか。それとも、ほかの方を待たなければなりませんか。」(4)イエスはお答えになった。「行って、見聞きしていることをヨハネに伝えなさい。(5)目の見えない人は見え、足の不自由な人は歩き、らい病を患っている人は清くなり、耳の聞こえない人は聞こえ、死者は生き返り、貧しい人は福音を告げ知らされている。(6)わたしにつまずかない人は幸いである。」(7)ヨハネの弟子たちが帰ると、イエスは群衆にヨハネについて話し始められた。「あなたがたは、何を見に荒れ野へ行ったのか。風にそよぐ葦か。(8)では、何を見に行ったのか。しなやかな服を着た人か。しなやかな服を着た人なら王宮にいる。(9)では、何を見に行ったのか。預言者か。そうだ。言っておく。預言者以上の者である。
(10)『見よ、わたしはあなたより先に使者を遣わし、
あなたの前に道を準備させよう』
と書いてあるのは、この人のことだ。(11)はっきり言っておく。およそ女から生まれた者のうち、洗礼者ヨハネより偉大な者は現れなかった。しかし、天の国で最も小さな者でも、彼よりは偉大である。(12)彼が活動し始めたときから今に至るまで、天の国は力ずくで襲われており、激しく襲う者がそれを奪い取ろうとしている。(13)すべての預言者と律法が預言したのは、ヨハネの時までである。(14)あなたがたが認めようとすれば分かることだが、実は、彼は現れるはずのエリヤである。(15)耳のある者は聞きなさい。
(16)今の時代を何にたとえたらよいか。広場に座って、ほかの者にこう呼びかけている子供たちに似ている。
(17)『笛を吹いたのに、
踊ってくれなかった。
葬式の歌をうたったのに、
悲しんでくれなかった。』
(18)ヨハネが来て、食べも飲みもしないでいると、『あれは悪霊に取りつかれている』と言い、(19)人の子が来て、飲み食いすると、『見ろ、大食漢で大酒飲みだ。徴税人や罪人の仲間だ』と言う。しかし、知恵の正しさは、その働きによって証明される。」

◆悔い改めない町を叱る
(20)それからイエスは、数多くの奇跡の行われた町々が悔い改めなかったので、叱り始められた。(21)「コラジン、お前は不幸だ。ベトサイダ、お前は不幸だ。お前たちのところで行われた奇跡が、ティルスやシドンで行われていれば、これらの町はとうの昔に粗布をまとい、灰をかぶって悔い改めたにちがいない。(22)しかし、言っておく。裁きの日にはティルスやシドンの方が、お前たちよりまだ軽い罰で済む。(23)また、カファルナウム、お前は、
天にまで上げられるとでも思っているのか。
陰府にまで落とされるのだ。
お前のところでなされた奇跡が、ソドムで行われていれば、あの町は今日まで無事だったにちがいない。(24)しかし、言っておく。裁きの日にはソドムの地の方が、お前よりまだ軽い罰で済むのである。」

◆わたしのもとに来なさい
(25)そのとき、イエスはこう言われた。「天地の主である父よ、あなたをほめたたえます。これらのことを知恵ある者や賢い者には隠して、幼子のような者にお示しになりました。
(26)そうです、父よ、これは御心に適うことでした。(27)すべてのことは、父からわたしに任せられています。父のほかに子を知る者はなく、子と、子が示そうと思う者のほかには、父を知る者はいません。(28)疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。(29)わたしは柔和で謙遜な者だから、わたしの軛を負い、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたは安らぎを得られる。(30)わたしの軛は負いやすく、わたしの荷は軽いからである。」